入門書や公式リファレンスを読んでいてびっくりしたのですが
Unreal Engine におけるプラグイン機能は、次の図で示す通りゲームのプロジェクトにC++のソースコードが配置される感じです。
プラグインは独立したプロジェクトにならないことに衝撃を受けました。
こんな感じのドキュメントがあるほど
けっこう面倒な処理を手で加えないと
スタティックリンクライブラリを使うプラグインというものを作れないそうなのですよ。
私に限ってかもしれませんが
自分の書くコードにはほとんど価値なんてなくて、世にある優れたライブラリの力を借りつつプラグインって作るものですよね?
そんな作り方が簡単にできない仕組みになっているとは、どういうことなのか!
と、また落とし穴にハマったので抜け出してみたいと思います。
OpenCVをUnreal Engine4で使用する、というドキュメントに参考になるコードがあったので利用します。
追記;
で、実際にスタティックリンクライブラリを介してDLLの実装内容を利用できるところまで確認しましたので要点を記載します。
1.Win32コンソールアプリのテンプレートを利用してDLLを作成します。(シンボルのエクスポートを忘れずに行うこと)
今回は単純に動作確認したいだけだったので、SimpleMathという適当なDLLプロジェクトを用意し、関数を次の図に示す通りに作りました。
落とし穴がさっそくあります。Unreal Engine 4はx64プロジェクトですので、このDLLもx64でビルドしなければいけません。(DLL機能を使うコードを書いてリンクする時にエラーが出ます。)
作った成果物のうち .lib ファイル(スタティックリンクライブラリ)は次の通りの場所に配置します。
ThirdParty製ライブラリファイルの配置時にも落とし穴があります。.libとセットで.dllファイルも配置したいところですが、プロジェクトが.dllの配置を見ている箇所は一つしかありません。
次に示すBinaries\Win64フォルダです。(ここにThirdPartyの.dllファイルをすべて配置します。試していませんがたぶんサブフォルダ切れると思います。私が設計担当ならそう作りますので)
2.プラグイン側でThirdPartyのスタティックリンクライブラリ、ダイナミックリンクライブラリを参照します。
さっそく落とし穴があり、ハマりました。例で示したOpenCVを利用するものを参考にするとコンパイルできなくなります。
Unreal Engine 4.12 からは次のコードにするとコンパイルできるようになるそうです。(ファイルはプラグインのSimplePlugin.Build.csファイルです。C#ファイルなので、C++プロジェクトから参照が正しく機能せず、Unreal Engine特有のクラス定義がどんなフィールドを持っているか、ランタイムで解析するなども行いました。しかし、簡単にプロジェクト名を取得する方法が無いようなので、おかしな文字列操作コードを仕込んでいます。TargetInfoにプロジェクト名とかあると良かったのですけどね、なかったです。)
using System;
using System.IO;
using System.Reflection;
namespace UnrealBuildTool.Rules
{
public class SimplePlugin : ModuleRules
{
public SimplePlugin(TargetInfo Target)
{
PublicIncludePaths.AddRange(
new string[] {
}
);
PrivateIncludePaths.AddRange(
new string[] {
"Developer/SimplePlugin/Private",
}
);
PublicDependencyModuleNames.AddRange(
new string[]
{
"Core",
}
);
PrivateDependencyModuleNames.AddRange(
new string[]
{
}
);
DynamicallyLoadedModuleNames.AddRange(
new string[]
{
}
);
LoadThardParty(Target);
}
private string ModulePath
{
get {
FileReference CheckProjectFile;
string ProjectNameModuleRules = System.Reflection.Assembly.GetExecutingAssembly().GetName().Name;
string ProjectName = ProjectNameModuleRules.Substring(0, ProjectNameModuleRules.Length - "ModuleRules".Length);
UProjectInfo.TryGetProjectForTarget(ProjectName, out CheckProjectFile);
RulesAssembly r = RulesCompiler.CreateProjectRulesAssembly(CheckProjectFile);
FileReference f = r.GetModuleFileName(this.GetType().Name);
return Path.GetDirectoryName(f.CanonicalName);
}
}
private string ThirdPartyPath
{
get { return Path.GetFullPath(Path.Combine(ModulePath, "../../ThirdParty/")); }
}
public bool LoadThardParty(TargetInfo Target)
{
bool isLibrarySupported = false;
string SimpleMathPath = Path.Combine(ThirdPartyPath, "SimpleMath");
string LibPath = "";
bool isdebug = Target.Configuration == UnrealTargetConfiguration.Debug && BuildConfiguration.bDebugBuildsActuallyUseDebugCRT;
if (Target.Platform == UnrealTargetPlatform.Win64)
{
LibPath = Path.Combine(SimpleMathPath, "Libraries", "Win64");
isLibrarySupported = true;
}
else if (Target.Platform == UnrealTargetPlatform.Win32)
{
LibPath = Path.Combine(SimpleMathPath, "Libraries", "Win32");
isLibrarySupported = true;
}
else
{
string Err = string.Format("{0} dedicated server is made to depend on {1}. We want to avoid this, please correct module dependencies.", Target.Platform.ToString(), this.ToString()); System.Console.WriteLine(Err);
}
if (isLibrarySupported)
{
PublicIncludePaths.AddRange(new string[] { Path.Combine(SimpleMathPath, "Includes") });
PublicLibraryPaths.Add(LibPath);
if (!isdebug)
{
PublicAdditionalLibraries.Add("SimpleMath.lib");
PublicDelayLoadDLLs.Add("SimpleMath.dll");
}
else
{
PublicAdditionalLibraries.Add("SimpleMath.lib");
PublicDelayLoadDLLs.Add("SimpleMath.dll");
}
}
return isLibrarySupported;
}
}
}
3.プラグインコードでThirdPartyのライブラリを利用する。
この赤い波線が気になるのですよね。
実行時はIncludesへのパスが設定されているのでコンパイルエラーは起こりませんが、Visual Studio でコーディング中はパスの参照が切れているのでヘッダファイルが見つからない旨を教えてくれます。
直接ゲームプロジェクトのインクルードディレクトリをいじれば解決しそうですが、試してはいません。(たぶん解決しますが、プロジェクトを自動生成している関係でいつか誰かがクリアしちゃうものなのだと覚悟する必要があるでしょう)
プラグイン側のテスト実装は次の通りです。(ここにあるコメントの通り、相対パスでIncludesにあるヘッダファイルを指定するとプロジェクト設定に非依存で参照問題を解決できます。)
#include "SimplePluginPrivatePCH.h"
#include "SimpleMath.h"
class FSimplePlugin : public ISimplePlugin
{
virtual void StartupModule() override;
virtual void ShutdownModule() override;
};
IMPLEMENT_MODULE( FSimplePlugin, SimplePlugin )
void FSimplePlugin::StartupModule()
{
CSimpleMath a;
int sum = a.Sum3Int(1, 2, 3);
return;
}
void FSimplePlugin::ShutdownModule()
{
}
デバッグ実行時に落とし穴がありました。
エディタを起動しながらステップ実行してプラグインのコードを動作確認をしたいなら、ビルド時の構成は次のものを利用します。(初回ビルドに5分ほど時間を要しますよ。)
ディフォルトではDevelopment Editorになっているようで、そのときの挙動をみるとリリースビルドに近かったです。
Sippingはさらに最適化が施される形なのかなと予想(選んで実行はしていない)
はい、ここまでの1.2.3.で示したステップを踏むことで私の環境ではThridParty製のライブラリをプラグインで利用できることが確認できました。
自分は自分で独自にOpenCVなどのThridParty製のライブラリをUnreal Engineのプラグインで利用する予定です。